君のことよく知らないけど

6.

 キスの時はあんなにむしゃぶりついてきたくせに、フェラチオとなると三怜はじれったくなるほどにお上品だった。まぁフェラに上品も下品もないか。
 大好きな飴玉が溶けてなくなるのを少しでも遅らせたいかの様に、少しずつ少しずつ舌で楽しむそのやり方に俺は焦れた。焦れた結果、金髪を引っ張って引き剥がした。
「もー終わり。後ろ向いて」
「えっ、あっ……なん、」
「それ以上やってたら萎える。ゴムある? ローションも?」
「ご、ごめんなさい、俺、下手くそ……」
「や、いいけど」
 脱ぎ散らかせれた自分のジーンズのポケットを探る。カードケースからゴムを出しながら室内を見回した。「ローションあったほうがいいよな? 持ってない?」
「あ、持ってます、下に……」
 三怜はシーツの上に腹這いになると、ベッドの下に手を伸ばした。収納のついているタイプのベッドだったらしい。引き出しを開けて何やらゴソゴソとやっている間に俺もゴムをつけた。
「これ……」
 白いシーツの上で上半身を捻る三怜の体は、ベッドヘッドのライトに照らされ、まるで美術館に展示された彫刻の様だった。その手に持っているのが大衆向けドラッグストアで売っている安っぽいローション(お得用)でさえなければ。
「経験ある? ここ」
 俺は彫刻のケツを揉んだ。
「あ、む、昔……」
「昔?」
「むか、し……一回だけ……男の人と、付き合って……」
「へえ。一回だけ?」
「はい……」
 出来っかなあ。と思いながらローションの蓋を外し、容器を傾ける。三怜はのそのそと俺に背を向けてケツを突き出してきた。
「じゃあこれセフレに使ってんの?」
「えっ?……あ、や……オナニー……に……」
 三怜の耳が、火がついたように赤くなる。手にとった粘液を伸ばして尻の割れ目からキンタマに擦りつけると、背中をへこませて頭を枕に落とした。
「君オナニーなんかする暇あんの? 男でも女でも、相手困んないよね」
「あ、そん、そんなこと……」
「ない? そうなの? なんで? 変なエッチすんの?」
 手にローションを足して、脚の間からチンポをぬるぬるした手でシゴいてやる。三怜の太ももがびくびく震えた。
「あ、お、オナニー……好きな、だけ……」
「オナニー好きなの? セックスより?」
「せ、せっくす、す、好きな人とじゃないと……できない……」
 三怜はついに首まで赤くなった。俺は青ざめた。ちんこが萎えかけたが、三怜のぐちょぐちょの股間を見たら持ち直した。意識的に、思考を停止させた。
「俺のこと好きなの?」
「好き……あ、す、すき……」
「さっき会ったばっかだよ?」
「うん……あっ、あぁ……」
「どこが好きなの?」
「あ、かわ、可愛い、いぃ……いいい」
「俺かわいい?」
「可愛い、可愛いぃ……あっ、気持ちいっ」
「可愛い猫ちゃんにイジメられて気持ちいい?」
「あんっ、あっ、気持ちいいよう……猫ちゃん、猫ちゃん可愛いッ……」
「猫ちゃんと交尾する?」
「あっ、す、するっ、したいっ、したいい」
 三怜のアナルは俺の指とローションを飲み込んで卑猥な海洋生物のように蠢いていた。俺のちんこにもローションを派手にぶっかけて、亀頭を押し込んでいく。
「んん、ンンッ! ン〜ッ、ううぅ」
 しんどそうな呻き声が暗い室内に響いた。
「きつい? やめたい?」
「んン〜ッ、やめ、やめない、やめない……」
 これ以上絞められたら俺もキツいから、また三怜のちんこに手を伸ばす。
「あっ、あぁんっ、あんっ、ああっ、だめ……ダメェっ」
「だめ? カワイイ猫ちゃんが頼んでもダメ……?」
 直感的に、コイツこういうのが好きなのかなと思って、ちょっと甘えた声でおねだりしてやると、手の中で三怜のちんぽがググッと持ち上がった。
「あっダメ……ずるい……ずるい……」
「だめ〜? ちんちんもっと奥まで入れたいな〜♡」
「ああっ、あん……可愛い、かわいい……あっ、もっとおねだりしてっ♡」
 三怜は枕に頭を押し付けながら、そのダークグレーの枕カバーを長い指で握り締めた。背中に光る汗がライトに照らされてキラキラしている。その背中に覆いかぶさって、形のいい耳に噛み付いた。
「ねぇ三怜くん……リオンのおちんぽでおまんこパンパンさせて? おねがい♡」
「あぁんっ、かわいいっ♡ かわいい〜っ、いいよ、いいよっ♡」
「いーの? じゃあ思いっきりパコっちゃうね」
 すっかり骨抜きになった三怜はその上半身をぐったりとシーツに預け、ケツだけをかろうじて上げて震えていた。だらりと投げ出されたその左腕を引っ張りながら腰を入れて動き出す。三怜はグインと頭を上げると、腰をグネグネさせながら大声で喘ぎ始めた。
「あああっ! アッ、アァッ! あ〜〜ッ! ンァァァッ!」
 190センチの男が金髪を振り乱して暴れる様子は圧巻だった。俺も頭に血が上る。
「三怜くん気持ちいの? すっげー声だよ。ほんとに一回しか掘られてないの? 嘘ついてない?」
「あっ、ついてないっ、んアッ、ンンーッ!」
「ほんとに? ほんとはパコりまくってんじゃないの? ねえ、ここ。おまんこじゃんコレ」
「あんっ、だめぇっ! おまんこじゃないもんっ」
「おまんこだよこれ。ほら、ほらグチョグチョ言ってるの聞こえる? おまんこの音だよこれ」
 わざと音が出るように抜き差ししてやると、三怜はイヤイヤをするように頭を揺らす。
「リオンさん意地悪っ……いやっ……エッチなこと言わないで……」
「俺じゃなくて三怜くんがエッチなんだよ。ほら、さっきみたいに下品なおまんこ声出して」
 腰を振りながら三怜の裏筋をゴシゴシすると、頭を逸らして泣き喚いた。
「あああんっ、アンッ、んあっ、あっ、あぁんっあんっああああ」
「いつもここ自分で擦ってんの? オナニー大好きなんだよね? 好きな人にセックスしてもらえて嬉しい?」
「あっ嬉しいっ、嬉しいぃ〜、気持ちい、セックス気持ちいいよう」
「気持ちいいね〜、セックス楽しい? オナニーより楽しい?」
「たっ、あんっ、たの、楽しいっ、セックス楽しいぃ、ああっん!」
「んじゃさっさとイけよオラッ、客にセックスキメてもらってメスイキしろ!」
「あっ、だめっ、ああっ、いやっイク、イク、イグッゥゥッ」
 三怜の体が電気ショックを浴びたように激しく痙攣し、中の肉が思いっきり収縮する。ぎゅうぎゅうしぼられる感覚に俺も喉を鳴らして射精した。


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